⾒えない世界への⼿探り

皇帝のものは皇帝に、神のものは神に

前々ページで触れたイエス・キリストの「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に」という言葉は、ローマ帝国の支配下にあったユダヤの地で語られたものです。当時、ローマへの反感を持つ人も多く、「帝国に税金を納めるべきか?」という質問をイエスにぶつけました。その問いに対し、イエスは「世俗の秩序の中で果たすべき義務は果たしなさい。ただし、信仰は神に属するものだ」という意味で答えたとされています。つまり、世俗と真理の領域をきちんと分けるべきだという点で、仏教における「世俗諦(世俗の次元)」と「勝義諦真理の次元)」の区別に近い考え方だと、当方は理解しています。

コロナ禍の最中、ある人が「ヨガ業界の中には、ワクチンを接種しない人が多い」と発言されていました。一般的にどこまで当てはまるかは分かりませんが、当方の知るヨガ教師4人のうち3人は確かにワクチンを接種していませんでした。また、スピリチュアル好きの知人たちの中にも、かなりの割合でワクチンを拒否した人がいました。ワクチンを嫌う人たちの全てがそうではないと思いますが、これらの人の中には、世俗諦と勝義諦を切り分けていない人もいるのではないかと思います。スピリチュアルな探求をする人は、真理の次元に強い関心を持つ傾向があり、「自己免疫に任せる自然治癒力が大事で、ワクチンのような人工的なものは避けるべき」と考える人も少なくないようです。

当方自身は、今はこの世俗の世界で生きている以上、できる限り、世俗の慣習や常識に従って生きる方が、結果的に楽に生きられるのではないかと考えています。

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