⾒えない世界への⼿探り

ワクチン打ったら、牛になる?

「歴史は繰り返す」という言葉があります。一方で、アメリカの作家マーク・トウェインには、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」という有名な言葉があります。

数年前のコロナ禍において、ワクチンを巡る陰謀論を耳にするたびに、当方は、近代免疫学の父とも呼ばれる英国のエドワード・ジェンナーの逸話を思い出していました。

ジェンナーが種痘を発明したのは1796年。天然痘によって、多くの人々が命を落としていた時代です。明治元年は1868年なので、日本ならまだ江戸時代の真っ最中です。当時の英国でも、生まれてから死ぬまで、一度も自分の村を出なかった人が多数いたと思われます。

そんな時代なので、「牛由来のワクチンを打ったら、牛になる!」という噂を本気で信じる人たちも少なからず存在し、ジェンナー自身も、その噂に悩まされたと言われています。

科学も医学も飛躍的に進歩した現代ですが、コロナ禍において、似たような光景があったようにも思います。もちろん、医療には個体差があり、ワクチンの副反応によって重篤な症状が出る方がいることも事実だと思います。

一方で、人類は「自然のまま」では生き延びられなかった存在です。歴史を俯瞰すれば、人類は火を使い、衣服を作り、農耕を行い、家を建て、薬を生み、衛生を整え、文明を築いてきました。もし「完全な自然」だけに委ねていたなら、多くの乳幼児が感染症によって命を落とし、人類の寿命は今より遥かに短くなっていると思います。

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